季節とかもう関係ねーだろ。::
「ヘイマイフレンドトリート・オア・トリートだああああああああ……」
「ドラキュラは~……外おおおおおおっっ!!!」
「いでっ! いてっ……いてぇっつの!! てめぇ巫山戯ンなっ……ニンニク投げつけてくるんじゃねぇっっ!!! そう言う行事じゃネェよ節分か!!??」
「年の数だけ投げるんだぜ」
「一体幾つニンニク持ってんだよ。つか俺の格好よく見て鬼太郎、俺ほら、素だから。ドラキュラじゃなくて地獄童子っつー仮装で来たから」
「仮装って言わねーだろそれ。せめてジャコランタンくらい被って来いよ」
「いや、最近ちょっと野菜の値段が高すぎて……全部美味しく頂きました」
「皮もっ……!!??」
「やわらか~く煮込んだら意外といけたぜ……お前墓場鬼太郎とか見習えよ。あいつきっとカボチャの煮物すら食えねー生活送ってるぞ」
「止めてくれ……下層階級の更に下の下あたりの生活送ってるヤツを見習えとかって……つか働けよ。働いてくれよ」
「そっくりそのまま返すぞお嬢のヒモっ! お嬢のおかげで良いモンばっか食わせて貰いやがって……大体今日は俺はお嬢のお菓子を期待してやってきたんだよ。お前に用は無いんだよ」
「んじゃオレのトコに来るなよ!? どんだけ偉そうなんだよお前はよっ!」
「でもお前からもお菓子があるなら有り難くトリートだ。無くてもいたずらはしない。何かお前の場合……ちょっと、グロそうだから」
「どんなトリック考えたのかな君は!?」
「こんにちはキタローっ! トリック・オア・トリート~っ♪」
「猫むすっ……」
「お嬢トリート・オア・トリート~~~~っっ!!! 待ってたぜ俺のウェヌス!!」
「あっれ地獄童子! やっぱり来てたんだ……イベントになると来るよね、アンタって」
「俺、そう言うトコ外さない男なんだ。つか何だよお嬢、折角のハロウィンなのに何でコスプレしてないんだ?」
「はーい! オレも気になってましたー! 何で仮装してないんですかー!」
「……いや、“猫娘”って仮装で来たんだけど」
「だからそれ仮装って言わねえええだろてめええええらっ……」
「それよりはいお嬢、これ幽子から。トリート」
「わあ、何かちょっと赤い点々着いてるのが気になるけどすっごく美味しそうなクッキー! じゃあこれ、幽湖さんと地獄童子の分ね」
「おお、コレもしかしてプリン? すげーなお嬢、今年めちゃくちゃ凝ってるな」
「栗プリンだよ。はい、鬼太郎の分も」
「へぇ~……ああ、上に乗っかってるのが栗クリーム? すごいな……ホントすっごい美味そう」
「でしょ? 今回は自信作なんだ」
「でも妖怪アパートでよくこんな豪勢なもの作れたな~……」
「ああ、実はこれ夢子ちゃんの家で一緒に作らせてもらって……」
「―――……」
「先にお菓子交換して来ちゃった。これからたぶんこっちに来ると思うよ。夢子ちゃんのパウンドケーキもすっごく美味しいから楽しみに……」
「猫娘、ちょっと出かけようか。墓場辺りランデブーしよう。そうしよう」
「何言ってンのさ……夢子ちゃん来るんだから待ってなさいよ。だ、大体、でっ……デートなら私たち何時だってっ……何時だってできるじゃないっ……!」
「お嬢、『きゃっ』って言いながら鬼太郎突くの止めなさい。結構こいつ必死だから。マジだから」
「そうだよ猫娘、マジだよ。本気だよ。あの小悪魔が来る前に何とかこの場をっ……」
「トリック・オア・トリック鬼太郎さんっ! ゲタに画鋲置いておいたからっ!」
「はいトリートでお願いします夢子さんっ!! つかなんて言うタイミングですか! そこで待ち伏せでもしてましたか!?」
「私かなり空気を読める小学生だから……そんな事しなくても良いタイミングが分かるのよ。すごいでしょ」
「うん凄い。何が凄いって……うん、何か、全て」
「おーし、じゃお菓子も貰ったし帰るかな~」
「帰るのか!? このタイミングで帰るのかお前っ!!??」
「私もおばばの手伝いしないと行けないし……そろそろ帰ろうかな。夢子ちゃん、帰り気を付けてね。良かったら妖怪アパートに寄ってって」
「勿論行くわ、猫娘さん」
「いやいやいやマジで!? え、何それもしかしてお前達のトリック!? 菓子ならほら、金平糖用意してたんだよオレ! ホントだよ! ホントにお菓子用意してっ……って帰るなーっ!!!」
「鬼太郎さん……トリック・オア・トリック」
「トリートで!」
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モ/ロ/ゾ/フだかの栗プリンが最高に美味かったって言う話……いや、違うけど。