うっわすっげー昔に拍手に載せた記憶がある七夕蒼猫ss発見っっ!!!////
しかも大人設定だ!!
猫娘が成長しているのを見るのが嫌な人はどうぞそのままスルーしてください笑
七夕::(大人設定)
「七夕の時期か…」
夜空を見上げて、一年に一度巡り会う、彦星と織り姫を思う。
何だか非常に親近感が沸くのは、自分も似た様な境遇だからだろうか。
「ま、俺の場合一年に一度じゃねえからな…」
会おうと思えば、会える位置に彼女はいる。
十分か。
贅沢も言ってられまい。
それでも。
「―――会わせてくれないかねぇ? 今だけ」
ほんの一目で良いんだけどなァ。
ざくざくと歩き続ける山の中。
夜空を見つめていると、蒼坊主の眼にちかりと一筋の光が映った。
流れ星だ。
なかなか良い趣ではないか。少し得した気分になって歩き続けること約数時間。
「―――え」
何だか非常に懐かしい匂いが鼻につく。嗅ぎ慣れた山の匂いが、蒼坊主の鼻を刺激する。
そして。
「蒼さん!」
ええ、と思わず自分でも間抜けな声を出す。
これは幻聴か。幻覚か。蜃気楼か。何時の間に海を渡ってサハラ砂漠へ。いやいや如何に方向音痴の自分でも、海渡った事くらい気付くだろう普通に。
ならばこれは現実か。現実なのか。
「お帰りなさい、蒼さんっ…! 帰ってくるなら連絡くれれば良かったのに!」
そうか七夕だからか。
小さい頃はよく可愛い金魚の柄の浴衣を着ていたが、この年になるとしっとりとした朝顔の模様がよく似合う。紫の柄に青い帯。ああ、トレードマークもいつもと違った青紫のきれいな布。
薄く桃色の紅が引かれた唇が弧を描く。
「もう蒼さん、何ぼうっとしてるの? 鬼太郎が…」
そこにいるのよ、と告げた唇を、親指の先で制した。
きょとんと首を傾げる彼女に、いたずらを考えついた子供の様に蒼坊主は笑ってみせる。
しい、と己の口元に人差し指を当てて。
「静かに。お星さんが驚いて逃げちゃうだろ?」
一瞬見開かれた金色の瞳。途端ぷ、と小さく吹き出して、何言ってるのと彼女は唇を動かす。
蒼坊主はそんな猫娘の肩を、静かに引き寄せた。
「ただいま、…猫」
「…お帰りなさい、蒼さん」
耳元で囁くと、彼女はコオロギの様な涼やかな声で、優しくそう返すのだった。
--大人猫は着物の似合うべっぴんさんになって欲しいと切に願う。