2008/06/23 (Mon) 22:28
思えば、大層自分は彼女に対して失礼な事をしまくっていたような気がする。
* * *
――とふと思ったのは、やっと自分の試練が一段落付いて、結局の所暇となり、浅倉朝子と共に行動しようとした矢先、朱巳と名乗った女性から救援要請が来たので向かった先に偶然か必然か、彼の命の恩人がいたからかも知れない。
とにかく突然、妙に冷静な頭でビートはそう考えていた。
自分の戦いはある程度終止符を打った。
しかしどうやら彼女は、また新たな面倒事に巻き込まれているらしい。それはもしかしたら、自分も同じなのかも知れないけれど。
だって本来彼女は無関係で、半ば自分の所為であんな事に巻き込まれて、下手すれば命を落としていた。しかも自分がこうやって一段落付けたのも、久方ぶりに平安という物を感じられたのも、全て彼女がいてくれたからなのに。彼女があの時、共に行動してくれていたからの産物なのに。
自分は彼女に何をしてやれただろう?
彼女との戦いで自分は多くの物を得た。彼女は自分の手助けをしてくれた。そう言えば食費を出してくれたのも彼女だった。モータル・ジムの攻撃でまんまと失明した自分を看病してくれたのも、彼女だった。そしてそのジムを倒すのに手を貸してくれたのも彼女だった。あの時は浅倉朝子の存在が気になって、半ば混乱状態であったが、それにしたってあの無様さはどうか。ジムから情報を聞き出すのだって、自分から中断させて更に襲撃に気付かず、またしても彼女に命を救われた。
そして何より、フォルテッシモとの戦い。
あの場に彼女がいなかったら、自分は確実に命を落としていただろう。
その代わりに彼女自身が命を落としそうになった。彼女は主の命に従ってビートの元に近寄った。それだけなのに、彼女は身を挺して自分を救ってくれた。
それなのに。
――あれ。
ビートはふと顎に手を当てた。
――俺、まだあいつに礼を言ってない。
そうだ。
あそこまでしてくれた彼女に対して、自分は何も返していない。礼の言葉を紡いでいない。なんたることか。全く持って本当にもう。
――情けねえ。
とは言え、今彼女はまた新たな戦いに出向いてしまったし、自分には彼女に任せられた――この、謎の女を守るという仕事もあるし。
――結局の所、どうなんだ?
彼女の面持ちを思い出す。何処までも真っ直ぐに、真っ直ぐに世界を見据えて、そして立つ彼女の姿を思い出す。ふと、苦笑じみた笑みを浮かべる彼女の顔を思い出す。色々、本当に色々思い出す。
とどのつまり。
――あいつと、話したいんだ。
面と向かって、ゆっくりと。時間を掛けて、何と無しに。
ビートは気付いた。
――平安が・・・
全ての戦いが終わり、ふと肩の力を抜いて笑い会える平安が。時間を気にせず、立場を気にせず語り合える平安が。自分と彼女の間にあって欲しいと、強く強く、願う。
あぁ、何がなんでも再び彼女と会おう。
彼女と語ろう。
彼女に礼を言おう。
だからそれまで・・・
「死ぬなよ、ラウンダバウト」
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なんて言う妄想。ヴァルプルギス序章直後あたり。
むしろ自分がラウンダバウトに死んで欲しくないと言う願望。
あの子は真っ直ぐ過ぎて自分を犠牲にしそうで本当に怖いです…
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なんて言う妄想。ヴァルプルギス序章直後あたり。
むしろ自分がラウンダバウトに死んで欲しくないと言う願望。
あの子は真っ直ぐ過ぎて自分を犠牲にしそうで本当に怖いです…
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