2008/06/13 (Fri) 22:57
と言う訳で完結。(やっっっっっとだな!)
さっさと終わらせようって事で取り敢えず…;;
拍手お返事は後日させて頂きますvv
そう言えば気が付くとブログでやってる鬼太郎ネタ…蒼猫オンリーだった。
↓↓↓
「仔猫っ…猫娘!」
霧の中から現れた蒼達に、真っ先に駆けよったのは砂かけだった。
蒼の腕の中で丸くなっている彼女をのぞき込む。その騒動で猫娘がぱっちりと金色の瞳を見せた。
一瞬安堵の息を漏らす砂かけだが、無事だと解った途端怒りがこみ上げたか。
「このぼんくら!」と猫娘を叱り付けた。
「何故この山に入った? あれほど一人では入ってはならんと言うとったじゃろうに!」
猫娘は雷の如く怒る砂かけに、半分泣きべそを掻きながら「ごめんなさい」と告げた。
ぎゅ、と蒼にしがみつく。
砂かけは許すまいと猫娘に詰め寄った。
「訳を言わんと許さぬ! おばばはお前を嘘つきに育てた覚えはないぞ!」
じわり、と猫娘の涙腺が緩んだ。
鬼太郎が後ろではらはらした様子で砂かけを見つめる。今しもその合間に入り、仲介でもしそうな様子だ。
それを視線で制しながら、蒼は腕の中の猫娘に優しく語りかけた。
「ほら猫ちゃん。理由があるんなら言った方が良いぜ?」
猫娘は一瞬蒼を見上げて、再び砂かけを見つめてからポケットの中に手を突っ込む。
そしておそるおそる、中から何かを取りだした。
くしゃくしゃのそれ。
ポケットの中でもみくしゃにされたそれは、どう見ても一輪の花の様に見えた。
「おばば…最近こしが痛いって」
猫娘が目尻に涙をためて呟く。
「これが、一番よくきく薬草なんでしょ?」
その言葉を聞いた途端、はっと砂かけの眼が見開かれた。
目尻が裂けんばかりに開く、赤い瞳孔。
厚い唇が僅かにわなないた。
「猫…お前…」
そんなことの為に、と呟く砂かけに、猫娘は再度頭を下げた。
「このお山にしかないって…だから、ごめんなさい」
「―――…」
蒼が完敗だな、と砂かけに呟いた。
蒼に抱かれたまま、猫娘が砂かけに手の中の薬草を差し出す。
その手を震える手でしっかりと包み込み、砂かけは猫娘を見た。
「もう…一人で行ってはならんぞ」
「…はい」
「どこかに出かける時は、おばばに一言言うんじゃぞ」
「―――はい」
「…有り難う、猫娘」
最後の言葉を聞いて、猫娘がようやっと笑みを取り戻した。
ぱっと顔を輝かせると、蒼の手から離れ砂かけに抱きつく。小さな体を強く抱きしめ返して、砂かけは笑った。二人は頬を寄せ合って笑い合った。
「蒼、本当に苦労をかけた」
「なぁに。…婆さん、将来有望だな」
彼女の腕に収まった少女に目配せしながら、蒼は言う。
砂かけは自慢気に鼻を鳴らして言った。
「自慢の娘じゃい」
「はは、婆さん自慢の猫娘か。将来俺の嫁さんになってくんないかな」
砂かけがその言葉を笑って流す。軽く流されたなと苦笑を漏らし、蒼はため息付く。きょとん、と猫娘は二人の会話に首を傾げたが、ふと蒼を見上げて声を上げた。
「あおさん」
首を傾げて金色の瞳をのぞき込む。
猫娘は少し頬を赤くして、恥じらいながら蒼に微笑む。
「迎えに来てくれて、ありがとう」
こりゃ本当に、別嬪になるぞ。
その笑みを見つめ、蒼は「おう」と笑いながら答えるのだった。
***
「蒼兄さん」
「おう鬼太郎。お前もご苦労だったな」
くん、と裾を引っ張られる感覚に、蒼は下を見る。大きな瞳が山の方を凝視している。
こちらを見ないまま、鬼太郎はぽつりと呟いた。
「危なかったね」
ぽつりと呟く鬼太郎に、蒼はふと山を見る。
見てぎょっとした。
先程までうっすらと木の陰は見えていた山。それが何と、雪が木の天辺まで降り積もったかの様に真っ白で、一寸先も見えない。
濃厚な霧が、これ以上侵入者を入れまいと、分厚い壁となって山を覆っていた。
蒼は思わず身震いする。
あの時木々は、この山は確かに猫娘の居場所を教えてくれた。
しかしそれは善意ではない。
「――さっさと出て行け、と…そう言う事か」
あれ以上あの場にいたら、もしかしたら山の怒りに触れてそれこそ生きては戻れなかったかも知れない。触れるだけで鼻や口を塞いでしまう様な霧だ。
危なかった。
先程の鬼太郎の言葉を繰り返し、蒼は息を漏らす。
山は静かにそんな二人を見下ろし、眠りに就く様に再びしん、と静まりかえるのだった。
--完
…え、これで終わりかよっっ!?(自らにツッコミ)
いや、あんまりこう色々やらせると蒼兄が唯の変態になりそうで怖ろしゅうて…
臆病な私を許して…!!
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