ミクロピュアラブ祭第15弾!
懲りもせずまたしても矢野がお送りします。
「初恋の人」ああ安易なタイトルや。
五期鬼太郎、CPはまたしても二宮(大学生Ver.)→猫娘。
「つづきは~」からよろしかったら……;;
初恋の人::
忘れる筈がない。
忘れようが無いではないか。
あの優しい微笑みも、凛とした瞳も、恐怖を感じたあの顔も、忘れられる筈が無いのだ。それなのに。
「いらっしゃいませ!」
笑顔。
知り合いにではない。“客”に対する追従笑い。
それが物語るのは――忘却だけで。
「え、と……ショートケーキ一つ」
「はい」
「モンブラン一つ」
「はい」
「チーズケーキ一つ」
「はい」
「ショコラクラシック一つ」
「はい」
自分もたどたどしく、“客”を演じてみる。
始めて来た様に。男一人でどことなく気恥ずかしそうに。家族に買ってやるように。
本当は初めてじゃない。
本当はずっと前から気付いていた。
本当はずっと外から眺めてた。
本当はずっと想ってた。
貴女だけを、想ってた。
つ、と頬を流れる涙はない。
でも、確実にぽろぽろと零れるこの想い。止めどない、この想い。
「あと、ザッハトルテ一つ」
「畏まりました。以上8個でよろしいですか?」
「はい」
笑う。
自分も笑う。彼女に向かって笑う。
これで終わりだ。自分の想いも、思い出も。これで全部、終いにしよう。彼女がすっかり、ケーキを箱に詰めてしまうまでに。
彼女がすっかり、自分の心を箱にしまってしまうように。
ぱこ、と音を立てて、箱の蓋が閉じられた。
躊躇いも無く、清々しい程すんなりと、その蓋は閉じて……シールで封をされた。
財布から五千円札を取り出す。彼女がレジを操作する。
――終わった。何もかも。
「お会計3千250円です」と言う彼女の声が降りかかり、五千円札を出す自分。それを受け取った彼女が、またにこりと微笑んで、そしておつりを自分に差し出す。それを受け取り、財布に入れて……そして箱を受け取って、さようなら。
さようなら、永遠に。
さようなら、愛しい人。
――さようなら、愛しい……妖怪。
涙も流れずそのまま去る。
そして二度とここに来ない。玄関の前でそう誓う。
――――……筈、だった。彼女がふと自分を見上げるまでは。
「それにしても買いすぎじゃない? 二宮くん」
……彼女が自分の名を……呼ぶまでは。
8人家族なの? と尋ねる彼女に、「え」と自分の声が自分の耳に届いた。
ショーケースに映る自分の顔。彼女の瞳に映る自分の顔。あの時よりずっと大人びて、あの時よりずっとすらっとなって、あの時よりずっと……間抜けな顔。
彼女が笑う。自分に笑う。「やだ、忘れちゃった?」と困ったように笑う。
忘れるはずがない。
忘れようがない。
忘れられない。
忘れられないのだ。自分は。
「ねっ……ネコさんこそ……!」
一気に膨れ上がった何かが、思いっきり胸を叩いた。そして防波堤が崩れさり、涙が押し寄せる。頬に伝ったそれを見て、彼女は慌てて両手を振る。
「忘れるワケ無いじゃないっ! これでも物覚えは良い方なんですからね!」
そしてまた、ふと微笑む。あの時自分の心を攫っていった、あの優しい笑みを見せる。
自分に。
自分だけの為に。
「格好良くなったね、二宮くん。大学生?」
頷く。零れる涙を拭いながら、何度も頷く。
「そうか」と答える彼女に、何度も、頷いてみせる。
貴女に少しでも近付きたくて。
あれから好き嫌いせず色々食べて、背が高くなるように牛乳をたくさん飲んで、強くなるためにスポーツだって色々やった。格闘技だって習ったんだ。勉強も頑張った。だって誰より貴女に認めて欲しくて。褒めて欲しくて。
――何より次に会った時は、貴女の隣が似合うようにって。
会える確証なんて何処にも無かったはずなのに。
「また会えて、嬉しいよ」
あの時と全く変わらない姿の彼女。
そして自分の想いもまた――終わり損ねた。
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頑張れ二宮! パート2.
残酷なのは運命か彼女か。
なんだか目覚めてませんか?
オトナになった二宮くん。
さぞや格好良くなったでしょう。
ふわぁ、その彼がネコただ一人のためだけに頑張ったというのはものすごくイイですっ。
オトナになった彼に気づくネコちゃんも良いv
なんだかこちらも目覚めてしまいそう。
ご馳走様です♪
もしかしたら永眠した方が良いかも知れないっっ!(笑
大人二宮ってどんだけ妄想フィーバーだよって感じですが、ヤバイですね二宮! はまりますね二宮!
気が付くと王道CPで一度も作品出してない自分です。
それでも嬉しいコメント有難うございます、ヒノ様っ////
ラストスパート! 頑張っていきますっっ≡3