こたつ::
「こたつで寝ると風邪を引くぞ、ピート・ビート」
「んー……」
「因みにこたつで寝ると頭悪くなるらしいぞ、ピート・ビート……ああいや、君の頭がこれ以上悪くなるはずが無いか……」
「お前……最近イヤミにも鋭さが増してきたな……」
「回り道は、嫌いでね」
「だからそのネタもう良いよ。お前もこたつ入れば解る。これは寝るしかないぞ」
「いやだよ。狭いし、君となんて熱そう。しかも臭そう」
「―――そんな恥ずかしがる事も無いと思うが」
「誰が、何時、恥ずかしがったって!?」
「心拍数上昇―。心音は本当に正直だなぁ」
「だからっ……そうやって能力を無駄遣いするんじゃない! それに僕は君の身と言うか頭を案じてこうして進言してやってるのに恩を仇で返すとは何事だピート・ビート!」
「どこの時代の人間だよお前は……お前の恩はありがた~く頂きました。―――おやすみ」
「―――こうなったら何が何でも眼を覚まさせてやるぞピート・ビート……!」
「お前ってホント負けず嫌いだよな~……」
「そうですけど!? それが何か!? 何か悪いですかビートくん!?」
「いや……かぁいいなぁ、って……」
「―――……」
「―――心拍数、更に、上昇」
「黙れと言うのに!」
「なぁラウンダバウト、眼にゴミ入った見たいなんだけどちょっと見てくれないか」
「何、ゴミ……? 突然なんだ一体……」
「お前がそこで埃立てるからだよきっと……ごろごろする」
「何なら目玉くりぬいてやった方が早い気がするが……仕方あるまい、ほら、顔こっちに向けろ」
「お前って……ほんと、ラウンダバウトだよな~……」
「お褒めにあずかり光栄だ。……ごみ、らしきモノは、見えないが」
「そうかぁ?」
「ああ……至ってきれいだ。何なら目薬でも持ってくるか」
「いや、いらない」
「はぁ? じゃあ何で一体……!?」
「はい、いらっしゃい」
「貴様っ……! 見損なったぞピート・ビート! 僕を騙したのか!?」
「嘘も方便―――あー、良い抱き枕が来て益々眠くなってきたー……」
「なんたる屈辱……! 貴様なんぞの抱き枕になってたまるか! 油断させてテーブルの脚に思いっきり頭ぶつけさせてやる!」
「地味な攻撃だなおい……」
「それが僕の戦闘スタイルなのさ。地味な攻撃も重なれば凄まじく痛い」
「知ってる知ってる。ちゃんと身に染みてますー」
「―――おい。何かホントに眼が開いてないんですけど」
「わかってるわかってる。ちゃんと聞こえてますー」
「解ってない解ってない。全然頭まで入ってない。外耳辺りでシャットダウンされてる!」
「ラウンダバウトー……」
「何だ!? どうしたビート! 今にも死にそうな声出してるぞ!?」
「―――おやすみぃ~……」
「寝るなと言うとろおおおおにいいいい!」
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ああ、こたつは入ったら寝るしかない。