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夢捨て場
日常報告及びネタ暴露専用のブログです
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2008/07/30 (Wed) 15:08

なんとなんと! ミクロホラー祭大和様が参戦してくださいました!!
矢野が我が儘を言った所…

4期鬼猫ssをくださったのですっっっ!!!!!

題は「夏の夜」
ジャンルは先程言ったとおり、4期鬼太郎で鬼猫ss!
これはもう必見です!!!

↓↓↓

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 「夏の」 

 
 夏の夜のゲゲゲの森は、部屋の中で眠るよりも外で眠る方が、気持ちがいい。
 熱された気温がぐんと下降し、ひんやりした夜風がほてった体温を冷やしてくれる。猫娘は、夏になると時々ふらっと出掛けては、一晩外で過ごす事が多かった。
 猫故、寒いのも苦手だが暑いのも同様だった。
 幽霊族の鬼太郎の様に、外気の影響もなく常に体温が低いのならば、そういった辛さも感じられずにいられるのだろうか。――猫娘は軽く噴き出た汗を拭いながら、目的の場所に足を運んだ。
 昼間見付けておいた、とっておきの場所だった。
 周囲にはまばらに生えた木々以外、風を遮るものは何も無く、その小高い広場の中央には、大きな岩――猫娘一人が充分寛げる位の広さのある――が、置かれていた。
 猫娘は、そっと岩に手を置いた。
 そのひんやりした感触に、猫娘は嬉々として表情を和ませる。両手を岩場に置き、ぴょん、と、飛び乗った。
 
 「あは。冷たーい!」
 
 思わず、言葉が口に出る。
 猫娘は、そのままごろん、と横になった。
 満天の星たちが、光を纏って落ちてくるのではないかと思う程、今日の空気は澄んでいた。猫娘は、うっとりとした。
 
 「こんな素敵な所、一人でいるのは勿体無いな」
 
 そして、また独り言。
 猫娘の瞼の裏に、鬼太郎の顔が思い浮かぶ。
 今度は鬼太郎を誘って、来よう。猫娘はそう思いながら、何時しか眠りに入っていた。
 
 
 浅い眠りを、たゆたっていた。身体は眠っているのに、意識がやけにはっきりしていた。
 
 「ねこむすめ……猫娘」
 
 誰かが、呼んでいる。
 
 「ん。だぁれぇ? きたろぉ?」
 
 寝惚け眼の猫娘の声は、気だるげで、舌足らずで。
 
 「目を覚まして」
 
 また、自分の身体をゆする何かが近くに居る。
 猫娘は、動きの鈍い身体を何とか起こそうとした。が、中々思う様に身体が動かない。やっとの思いで、目だけは開く。
 猫娘の目が、半円を描き、微笑を象った。
 ほおら。やっぱり鬼太郎だ。
 
 「きたろぉ……」
 
 猫娘は笑おうとした。口を開き、「なぁに?」と言い掛けて、彼女の表情は凍った。
 そこには――鬼太郎はいなかった。
 否、正確には、“それ”は鬼太郎の姿から虚無の空間へと変化していった。
 深い(うろ)の様な人型に似た“それ”には、小さな赤い二つの光が煌々と灯り、猫娘を凝視していた。表情等無い。そもそも、“それ”が人の型をしているのかさえ、疑問をはさむ。
 
 「や、やだ……」
 
 意識が一段とはっきりする。猫娘は、身体を起こそうと必死であがいた。上体が少しだけ動かせたが、下半身は全く言う事を聞かない……。
 赤い二つの光は、少しずつ猫娘に近付いてきた。“それの手”が、猫娘の足首を掴んだ。氷の様に冷たい何かが、足首から猫娘の心臓へ伝わってくる。
 
 「いやあ!!」
 
 猫娘は絶叫した。
 途端に、自分の身体に自由が戻った。
 猫娘は素早く跳ね起きて、岩場から離れようと慌てて動いた。身体が未だに震えている猫娘は、岩場から手を滑らせてしまった。咄嗟にバランスを戻そうとするが、何時もの俊敏な動きが出来ず、肘が折れ、猫娘は肩から落下した。
  
 
 「猫娘!!」
  
 
 確かな感触が猫娘の身体を包んだ。冷たくて暖かく、安心出来る匂いが鼻腔に吸い込まれる。
 岩場から落下した猫娘の身体を、鬼太郎は間一髪抱き止めた。
 猫娘は、自分が鬼太郎に助けてもらった事を理解すると、彼の服を両手で掴み、胸元へ顔を埋めた。
 歯の根が合わず、ガチガチと震える猫娘を、鬼太郎は彼女が落ち着いて動ける様になるまで、抱きしめて、待った。
 やがて、猫娘の震えが治まってきた。
 
 「鬼太郎……」
 「ん? 何?」
 
 耳元で聞こえる彼の声。
 猫娘は突然現状を認識した。
 自分から掴んでいた鬼太郎の服を放し、両手で強く鬼太郎を突き放した。鬼太郎は少し驚いた顔をするが、猫娘の熟れすぎた果実の様な真っ赤な顔に、思わず笑みをこぼした。
 
 「あ、あたし……あたし」
 「良かった。何ともない様だね」
 
 何時もと変わりない、穏やかな口調で鬼太郎が話す。
 猫娘の心臓は、今にも破裂するのではないかと思う位に、暴れていた。
 
 「ね、き、鬼太郎は、どうしてここに、居る、の?」
 
 ひどく、声も上擦っている。
 鬼太郎は周囲を見回し、また猫娘に視線を戻した。
 
 「一人でこんな所に来ちゃいけない」
 
少し、怒っている口調だ。「ここがどんな所なのか、猫娘は知らないんだね。ここは霊界にとても近い場所なんだよ」
 
 「れい、かい?」
 「そう。人間界で言う処のお盆に近いからね、霊界からも色んなものが現れる様になってるんだ。善い霊もいれば――悪い霊もね」
 
 鬼太郎の低く響く声に、猫娘は先程の自分を見ていた赤い二つの光を思い出した。あれは、目だ。つまり、あの黒い陰は……。
 猫娘は自分の足首を見た。――今まで無かった痣の様なものがある。それは、人の手の形に似ている。
 
 「やだっ!」
 
 猫娘は思わず足をばたつかせた。足を振った位で消えるものではない事は分かっているが、そうせざるを得ない程、気持ちが高ぶっていた。
 「猫娘」
 鬼太郎は、そんな猫娘の行動を優しく制し、彼女の痣の付いた足首を取った。そして、その足首に軽く手を合わせた。
 冷たい筈の鬼太郎の手が、とても熱く感じた。 
 猫娘の動揺は収まり、気持ちがすうっと落ち着いた。
 鬼太郎の手が離れると、そこにあった人の手の形をした痣は、消えていた。
 
 「さ。帰ろう」
 
 何事も無かったかの様に、鬼太郎は猫娘の手を引いた。猫娘は鬼太郎につられる様に軽々と立ち上がり、鬼太郎の腕に抱きかかえられた。
 
 「――うん」
 
 恥ずかしさと嬉しさで、猫娘は小さな声で答えた。
 
 
 猫娘の肩を抱く様に、鬼太郎は歩いている。
 その二人の背後には、無数の赤い目が蠢いていた。その内の一つが、地を這う様に二人の後を追う。
 鬼太郎の感情の無いその隻眼が、黒い陰を一瞥した。途端に、その陰は動けなくなった。
 
 オコラセテハ、イケナイ。
 地獄ノ鬼ヨリ恐ロシイ、鬼子。
 
赤い目たちは、鬼太郎の前から姿を消した。
残ったのは、少年と少女の影と、満天の星々のみ。
―――――。
 
<fin>


--

ss by 風と花びら~妖怪奇譚~/大和様
クーラーのつもりが思わず鬼猫でヒートアップしてしまいました…
ホラーはホラーなのに鬼猫が鬼猫で!!(訳わからん
松岡の最強ぶりにもう身震いが止まりません!!
優しい猫娘に近寄ろうとする幽霊も、隣に松岡いるとびくびくしながら遠巻きに見つめてる感じありますよね。
もうわざわざこんなあほ企画のために時間を割いてくださって…!!
大和様、本当に有難うございました!!

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