2009/08/04 (Tue) 20:09
手紙::
『拝啓 お元気ですか。今度そちらにお手紙書かせていただきます。』
「……と言う手紙を受け取った夢を見た」
「あらあらぁ、変な夢ですねぇ? 誰からの手紙ですかぁ?」
「それがわからないんだよね……封筒にも入ってなかった」
「男性か女性かもわからないんですかぁ?」
「……女性、かな。字体が、たぶん」
「あらぁ、王子ったらもてもてですねぇっ!」
「そう言う問題じゃないだろ。本当に僕宛なのかも定かじゃないんだから」
「でも王子が受け取ったんでしょう?」
「……気が付いたら、持ってた」
「そぉですか。まぁ、夢だから変に気にする必要無いんじゃありません? 実のところはめちゃめちゃ気になりますけどぉ」
「僕もそう思ってた」
そう言いながらヘリオスは一枚の紙を出した。四つ折にされた、汚い紙をミアキスに差し出す。
一瞬怪訝な顔をするも、彼女は黙ってそれを受け取った。視線で開く許可を得る。ヘリオスは頷きながら呟く。
「それを見る前はね」
男か、女か、小さな文字の列にはこう書かれていた。
『拝啓 お約束通りお手紙書かせていただきました。次は必ずあなたに会いに行きます。』
「―――……」
沈黙が流れる。
静かに二人の間を風が抜けた。見れば窓が開いている。白いカーテンが音もなく揺らめいていた。
「これも、気が付いたら持ってたんですか?」
「いや、これはドアに挟んであった」
再び沈黙。
今度は先ほどより強い風が入ってきた。
「これは……キますね~……」
「クル……だろ……」
引きつった笑みを浮かべて、二人は呟く。
ミアキスの手紙を持つ手が少しだけ力んで、手紙の端に皺を作った。
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実はレックナート様からだったり。(人騒がせな!)
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