そう様
今年MH祭デビュー。今回二期鬼太郎で作品を
提供してくださったが、鬼太郎もホラーも初挑戦。
期待の第一作を提供してくださった。鬼太郎と猫
娘の日常の風景から徐々に迫る恐怖は見物。
烏羽色の闇
~烏羽色(からすばいろ)~
ああ、朝のゴミ出しは面倒だ。
そう思いながら分別した袋を指定の場所へ運ぶ。
烏避けの網を上げて中に入れようとして、網の上に何かが乗っていることに気付いた。
誰かが網の中に入れずに放置したのだろうか。
まったくマナーのなっていない、と思いながら、覗き込むと、それは人の形をしていた。
服装と髪型から女性と思われたが、彼女はピクリとも動かなかった。
全身に鳥についばまれたような切り傷があり、美しかっただろう瞳はきれいにくりぬかれていて闇が見えた。
彼女の体の上には烏の羽が散っていた。
窓の枠に烏が一羽止まって、鬼太郎と話をしていた。
「それは困ったな」
「ギァ」
「分かった。任せるよ」
バサッと音を立てて烏が飛び立った。
ひらり、羽が一本舞い落ちた。
真っ黒ではなく、墨色に一滴高貴な紫を落としたような柔らかな闇色。
思わず手に取り指先で羽を撫でると、灯していた蝋燭が尽きたのか、ふっと光が消えた。
視界いっぱいに烏羽色の闇が広がる。
今夜は朔月ではなかったはずだけど、と窓と思しき辺りに視線を向けると、月どころか星の光さえもない。
分厚い雲が天の光を遮っているらしい。
目を凝らさないと目の前にある手さえも見えない闇に包まれながら、鬼太郎はどこか安らいでいた。
闇は優しい。
良いものも悪いものも平等に包み込んでくれる。
そのままぼぉっとしていると、遠くに光が見えた。
闇の中、二つの金色が動いてくる。
やがて足音が聞こえてきて、家に掛かった梯子の下で控えめな声がした。
「鬼太郎さん、起きてる?」
「猫ちゃん、起きてるよ」
鬼太郎の返事にほっと息をもらして、猫娘はゆっくりと危なげの無い所為で梯子を上っていった。
そうして迷わず鬼太郎の隣に座る。
猫族特有の闇の中で光る瞳を鬼太郎に向けて、猫娘はやんわりと微笑んだ。
「明かりを消しているから、眠っているかと思ったわ」
「ああ、ちょうど消えてしまったんだ」
鬼太郎の言葉に、猫娘が仕方の無い人ね、と呟く。
「代わりをつけましょうか?」
「ん~、もうちょっと」
言いながら、猫娘の手を握る。
「もう少しだけ、この柔らかな闇に抱かれているのも、悪くないと思わないかい?」
自分を見上げる鬼太郎に、きょとんとした表情を見せた後、小さく笑って座りなおした。
「そうね、鬼太郎さんと一緒なら、悪くないわ」
声の加減から、やんわりと微笑んでいるだろうことはわかるけれど、猫娘ほど夜目が利かない鬼太郎にははっきりと見ることができない。
やっぱり明かりをつけたほうがいいのかな、などと考えていた。
「こうしていると、世界に二人きりみたいね」
猫娘の静かな声に、本当にそんな気がして、握った手の力を強めた。
妖怪である自分達にとって、闇は優しい。
人間達が何故怯えるのか、分からないくらいだ。
しばらく優しい闇に抱かれていたが、鬼太郎のおなかがきゅうとなったのを切欠に、猫娘が立ち上がり蝋燭を灯した。
「ふふ、お団子を作ってきたの。頂きましょう?」
お茶を入れるわね、と猫娘はまるで自分の家のように立ち動いた。
「親父さんは?」
「昼に子泣きのところに行ったままなんだ。この分じゃ、将棋から酒盛りに発展しちゃったんじゃないかな?」
あらあら、と猫娘が苦笑した。
「そういえば、鬼太郎さん。先ほど化け烏が飛んでいくのを見たけれど、何かあったの?」
「ああ、ちょっと頼まれてね」
「何を?」
「最近、人間達が目玉をくりぬかれて殺されているだろう?」
お茶請けにはあまりふさわしくない話題だが、その辺りはお互い慣れたもので、気にせず話を進める。
むしろ、ここで話を止めたら、好奇心旺盛な猫娘は拗ねてしまうだろう。
「目玉をくりぬかれて、あちこち鳥につつかれたような死体が見つかるそうね」
「うん。決まって、朔月――闇夜の次の朝にね。烏の羽が落ちているから、烏が集団で人を襲った、なんてバカなことを言う人間が多いらしい」
ぱくんと白いお団子を口に放り込んで、鬼太郎が続けた。
「烏は元来昼行性で、夜は目が見えない。化け烏ならともかく、普通の烏にそんな真似ができるわけがない。
それで化け烏たちが腹を立てている」
「化け烏が? 何故?」
「とうとう人間達が、烏を虐待し始めたからだよ」
バカなことを、と鬼太郎は思う。
たとえ烏を傷つけたところで、いったい何が変わるというのか。
噂に振り回されている人間が憐れでもあり、呆れもする。
「鬼太郎さんは、何もしないの?」
「今回は、彼らに譲るさ」
その許可を貰いに、化け烏はわざわざ鬼太郎のところに来たのだ。
人間に手出しするのを許して欲しい、と。
「それで、鬼太郎さんは許したの?」
「犯人が見つかれば、人間達も納得するだろう?」
「犯人!? じゃぁ、人間の仕業なの?」
目を丸くする猫娘に、鬼太郎が小さく笑う。
「烏は賢くて仲間意識が強いんだ。情報網もある。人間は鳥に警戒したりしないから、目の前にいても平気で悪さをするからね」
それに、と鬼太郎が呟いた。
「落ちていたカラスの羽は本物だ。いままでの件数を考えると、落ちていた羽を集めた、なんて量じゃない。つまり、羽をむしられた烏がいるってことさ」
その言葉を聞いた途端、猫娘の顔が嫌そうに歪んだ。
「あたし、時々人間が分からなくなるわ」
「そうかい?」
「だって、無意味に鳥の餌場を作って可愛がるかと思えば、糞が困るからと言って追い払ったり、殺したり。
同じ烏なのに、魔物の手先と言ったかと思えば、色が違うだけで神の使いだなんて言って敬うし。
いったい、彼らは何がしたいの?」
拗ねたように言う猫娘に、鬼太郎が小さく笑った。
「人間はね、臆病なんだよ」
鬼太郎の言葉に、猫娘が首を傾げた。
「闇を恐れて、罪を恐れて、傷つくのを恐れて。弱くて臆病だから、守ったり傷つけたりを繰り返して。
あんなにも細かい法律や罰則があるのは、臆病だからさ。
自分の行動に自信がないから、皆が決めた法に従うことで安心する。
自分を傷つければ、こういう罰が下るぞ、と言葉にしておかないと不安で仕方ないんだよ」
猫娘が淹れてくれた温かなお茶を一口飲み、鬼太郎が呟くように言った。
「だから、それから逃げるために、他者に罪を擦り付ける。
妖怪ならそんなことはしない。善悪は自分が決める。それに従って行動する。
そして自分を傷つけるものは、自分で片付ける、もしくは逃げる。
それができない人間は、弱くて哀れな生き物だ」
「そう……なの、かしら」
口元に指を当て、猫娘が難しい顔をした。
「じゃぁ、鬼太郎さんが人間を助けるのは、彼らが弱い生き物だから?」
「…………いや……たぶん僕は、人間が好きなんだと思うよ」
あの弱さや狡さも含めて、と心の中で呟くと、猫娘が柔らかく微笑んだ。
「そうね。私も人間が好きだわ」
どこか寂しげに、猫娘が笑った。
「それより猫ちゃん、夜道の一人歩きは危ないよ」
「あら、私は化け猫よ。そんな心配は無用だわ」
鬼太郎さんは心配性ね、と猫娘が微笑む。
今日は寄るところがあるからと言って、猫娘は立ち上がると、化け猫の証とばかりにひらりと窓から飛び降りて、闇の中を、来たときと同じく危なげの無い足取りで帰って行った。
猫娘は軽やかな足取りで、人間の町へ向かった。
鬼太郎に言いそびれたが、被害にあったのは人間だけではないのだ。
猫が数匹、犠牲になっている。
その中には、猫娘と仲の良い猫もいた。
ただ、目をくりぬかれて死んでいただけで、人間の場合と違い月夜だったし、烏の羽も傷跡もなかったから、関連性は考えられていないようだ。
どこかの悪戯ものがやったくらいにしか思っていないらしい。
けれど猫娘の鼻は、その猫に残されていた匂いが、人間の死体があった場所に残っていたことに気付いたのだ。
人間の捜査ばかりして、猫のことは所詮野良猫だと放置されている。猫が殺されたのに、悪戯で済ませてしまう人間に腹が立つ。
もちろんそんな人間ばかりではなく、本気で怒り哀しんでくれた人も居る。
やられたのは野良猫ばかりだったけれど、えさをあげていた人たちが悲しそうに抱きかかえて、優しく撫で、供養してくれたのが、猫娘にとっては救いだった。
「悪いのは、人間全体じゃないものね」
自分達妖怪にも敵意があるものと無いものがいるように、人間にも悪いものと良いものがいるだけのこと。
ゴミ捨て場に投げ捨てられていた仕打ちがあまりに悲しくて、思わず鬼太郎に愚痴を言いそうになってしまったけれど。
あの分では、犯人はそれ相応の罰を受けるだろう。
溜飲を下げて猫娘は猫達が捨てられていた場所へ足を運んだ。
子猫から大人の猫までバラバラの種類の猫だった。
優しい人たちが供養してくれたおかげなのか、そこに悪い気配は残っていない。
人間じゃないというだけで平気で傷つけて、投げ捨てる人もいるけれど。
猫は賢い生き物。優しさを与えられたらそれを受け止め返すことができるから。
きっと今は自分達の最後を嘆き悼み、優しく供養してくれた彼らに感謝しつつ、成仏しているだろう。
そのことにほっとして、猫娘は金色に光る瞳を柔らかく細めた。
そうして再び歩き出す。
人間の世界では闇夜でも必ず明かりがある。
だから、まったく困らない。
闇夜ならば、きっとこの猫の瞳が光って、目立ってしまうだろうけれど。
そう思いながら、街灯が切れている路地に出た。
広がる闇。けれど、ゲゲゲの森のような真の闇ではなく。
家々から漏れる光がほんのりと足元を照らす。
猫娘に重なるように、影が落ちた。
顔を上げると、中肉中背の丸顔の男が此方を見ていた。
「見つけた……」
「え?」
「金色の、瞳。ああ、これで俺のコレクションは完璧になる」
くん、と鼻を鳴らすと「ヤツ」の匂いがした。
こいつが……!
逃げずに臨戦態勢になったのがいけなかったのだろう。
手を振り上げ爪を出したとたん、鼻に何かを吹きかけられた。
刺激臭が鼻をとおり喉へ下りていく。
くらり、眩暈がして、猫娘はその場に倒れこんだ。
「金色の目。夜に光る瞳。闇を照らす明かり。ああ、やっと俺の物」
それを見たのはほんの偶然。
夕暮れ時に猫と戯れていた少女。
飽きることなくそうしていた彼女は、辺りに闇が広がっても気にせず猫を抱き上げて。
その日はどこにも光の無い闇夜だったのに、彼女の顔から光が零れた。
なんて、優しい瞳。
光が零れる眼差し。
白いかんばせにはめ込まれた、極上の宝玉。
どんな瞳を手に入れても満たされなかったものが、いま手に入る。
息を荒くしながら、男が猫娘を抱き上げようと手を伸ばす。
触れた瞬間、男の額に硬いものが当たって弾き飛ばされる。
痛みに蹲っていると、カランコロンと下駄の音が近づいてきた。
「まさか、猫まで襲っていたなんてね」
淡々と言う口調からは分からないが、声は少年のものだ。
薄闇の中、片目がぎょろりとこちらを見据える。
背格好はどう見ても小学生だが、纏う空気が尋常でない。
呻き声も出せずに、見入ってしまう。
「こんなことなら、烏たちに任せるんじゃなかったな」
ふぅ、と溜め息をつくと、周りからギァ、としわがれた鳴き声が響いた。
「わかってる。約束は守るよ。でも……少しはやらせてくれよ」
言いながら、鬼太郎が猫娘を抱き上げる。
「ま、まて! それは俺の――」
「はぁ?」
男が見たのは、白い顔に浮かぶ黒い瞳。
闇夜よりもなお冥い、闇の瞳……
「僕の子猫を苦しめた上に、奪おうなんて、許さないよ」
鬼太郎は猫娘を抱き上げたまま器用に髪を一本抜いて、男に投げつけた。
それは的確に男の眉間にささり、そのまま奥へと入り込んでいった。
「ああ、お前達。命は取るな。それは僕達の仕事じゃないからね」
化け烏たちにそう伝えて、鬼太郎は猫娘を抱き上げたまま自分の家へ帰った。
翌朝、ゴミ捨てに来た主婦は、男が倒れているのを見つけた。
今までの事件があったので、恐る恐る近付く。
男はだらりと四肢を投げ出し、何やらぶつぶつと呟いていた。
その瞳には、ぽっかりと穴が開いていた。
主婦は悲鳴を上げて逃げ出し、警察に連絡をした。
男の体はいたるところに鳥の足跡とクチバシで切り裂かれた跡があったが、命にはなんら別状はなく。
当たり前だが、烏につつかれたくらいでは、怪我をしても致命傷になることはまずないのだと証明された。
まして夜の烏にそれが行えるわけが無い。
生きているので事情聴取をしようとするが、訳の分からないことをぶつぶつと呟くばかりだ。
男の身元は持っていた財布からすぐに分かったので、家宅捜索が行われた。
男は医大出身の研究者だったが、研究室の棚一面にくりぬかれた眼球が瓶に入れられて並んでいた。
さらに奥には、ほとんどの羽をむしられたカラスが、無情にも生きたまま吊るされていた。
そのカラスにも、当然のように眼球がなかった。
「結局終身刑になったけれど、精神病棟に入れられたそうよ」
「何がだい?」
「ほら、あの烏の犯人」
ああ、と鬼太郎が呟く。
「法廷で、べらべらと自分が行った手順を身振り手振りを交えて再現したらしいわ。まるで今その場でやっているように。
そうして終身刑を言い渡された後は、ぶつぶつと、目玉が飛んでくるって言って、まるで虫を追い払うような仕草を繰り返しているんですって」
「詳しいね、猫ちゃん」
「新聞に載っていたの」
「そう。……死刑のほうが楽だったろうに、ね」
くすりと笑いながら、鬼太郎が呟いた。
「鬼太郎さん? 何て言ったの?」
「なんでもないよ、猫ちゃん」
にこりと笑う鬼太郎を、不思議に思いながらも、猫娘は部屋の片隅にある箱に目を向けた。
「よかった、オババの薬が効いたのね。羽が生えてきているわ」
「うん。普通の烏に妖怪の薬は……って思ったんだけどね。生きているのに見殺しなんて嫌だったからさ」
「そうよね。人間の手に任せたら、きっと手に負えなくてまた生ごみ扱いだわ」
憤慨しつつ、猫娘はそっと烏の頭を撫でた。
猫娘は自分の家のカラスです、と言い張って、警察から引き取ってきたのだ。
ほぼ丸裸にされていた烏だったが、オババの薬のおかげで産毛が生えそろい始めている。
見えない目は薬で妖気を纏ったからか、それほど不自由ではなさそうだ。
「もう少ししたら綺麗な黒い羽になるんでしょうね」
カァ、とどこか嬉しそうにカラスが鳴いた。
「それはそうと、猫ちゃん。やっぱり夜道の一人歩きは危ないよ」
「でも、鬼太郎さん」
「猫ちゃんが夜目が利くのは知っているよ。でもね、闇夜に浮かぶ光に惹かれるのは、僕だけじゃないんだよ?」
「え……ええ!?」
鬼太郎に惹かれるなどと言われて、猫娘が赤くなる。
「今回は化け烏たちが居たから、すぐに連絡がついて間に合ったけれど。
あんなヤツに猫ちゃんが触れられたかと思うと、はらわたが煮える」
「き、鬼太郎さんってば……」
「猫ちゃん、お願いだから、僕の手の届くところにいておくれよ」
君の優しい光は、人も魔物も惹きつけるから。
不安で仕方ない。
じっと鬼太郎が見つめると、猫娘はわたわたと赤い顔をしていたが、気を落ち着けて向き直った。
「私は、いつでも鬼太郎さんの隣にいるわ」
「僕が正義の味方でなくなっても?」
「鬼太郎さんが鬼太郎さんなら、離れたりしない」
「本当?」
「ええ、本当よ」
ぎゅ、と手を握ってくる猫娘に、許しを請うように抱きついた。
「猫ちゃんが連れて行かれそうになったとき……相手は人間なのに、八つ裂きにしそうになったよ」
「鬼太郎さん……」
「忘れないで猫ちゃん。僕の闇に光を灯すのは、君だけだから……」
ぎゅっと抱き合う二人を、神の使いであり魔物の使いである烏が、ひっそりと見守っていた。
何も見えない。
先ほどまで俺は彼女達のもっとも美しい部分――瞳を取って飾っていたのに。
今は何も見えない。
あの烏の羽のような闇が広がるだけだ。
ふわり、白い蛍のようなものが近づいてくる。
ああ、なんて美しい。
けれど、近づいてきたそれに驚愕した。
ホルマリンに漬けて保存していたはずの、あの目玉たちなのだ。
美しい色の人間の瞳に興味を持ち、闇夜に光る猫の瞳に興味を持ち、おまけとばかりに捕らえた烏の瞳もくりぬいてやった。
お前も飾ってやるんだから感謝しろと言ったら、ギィ、としわがれた声が聞こえた。
けれど、それはもう全て終ったことで。
どうして俺に突進してくる。
どうして俺の動きを止めるように周りを舞う。
どうして俺の目の前に――
そこまで考えて、自分の瞳が空洞になっていることに気付いた。
バカな。これでは見えるわけがない。では、これはいったい何だ?
『お前が欲しがったものだろう。黄泉路まで持っていくんだね』
見下すような子供の声が響いた。
目玉は相変わらず俺の周りを飛ぶ。
俺の空いた眼窩に潜り込もうと襲い来る。
痛い。
止めてくれ。
此方の声は聞こえないのか、目玉たちは容赦なく飛び込んでくる。
止めてくれ!!
アナタハ止メナカッタジャナイ
聞き覚えのある声が答えた。
コレハ罰ダヨ
三番目に瞳をくりぬいた子供の声だ。
死ヌマデ続ク罰
最初に瞳をくりぬいた女の声がそう告げた。
ならば、いっそ死んでしまおうか。
手探りで何かを掴み、それが刃物だと認識すると、反対の手首に当てた。
途端に拘束される体。
「ああもう、目が見えないから大丈夫だと思っていたのに」
「アンタみたいな人間でも、死なれたら困るのよ」
ベッドに拘束される体。
死ぬことも許されないのだと、闇の中で知る。
いったい、いつまで続くのか。この闇は……
終わりなど無いとでも言うように、闇と同化しそうな烏羽色の羽がひらりひらりと落ちてきた。
闇の中で飛び交う白い眼球。
けれど、あの時求めた金色の瞳は、どこにもない。
Fin.
鬼太郎もホラーも初挑戦との事ですが、まるで今まで何作も名作を残したような作品っ……今度は是非、オリジナルを読ませてくださいっ!
そう様、素敵な作品を有り難うございましたvv
はっ。思わず興奮してしまいましたすみません。
そう様、はじめまして。
初めて書かれたとは思えない位、読み応えのある作品で、すっごくドキドキしています。
そう様の偏りの無い中立的な視点、犯人の愚行、異常心理とその後(ああ、この様子(隔離病棟にてのフル拘束)が想像できるのです)。そして、鬼猫!
しっかり堪能出来ました。有難うございました。
(かなり興奮状態で、お許しください)
過分なお言葉ありがとうございます。
緊張しつつも思い切って参加してよかったです。
ホラーの定義はいろいろあるので難しかったです。
ホラー?ミステリー?と迷いながら書きました(笑)
オリジナルも機会があれば…
矢野さまに楽しんでいただけたなら、嬉しいです。
お祭り終了まであと少し、頑張ってくださいませ。
大和さま
お言葉ありがとうございます。
いつも拝見しているサイトの管理人さまにお褒め頂くと、舞い上がってしまいます。
大和さまから見てもちゃんと鬼猫になっているなら嬉しいです。
ラブラブな2期は大好きなので。特に猫娘には幸せになって欲しいです。そんな気持ちで書きました。
こちらこそ読んでくださって、ありがとうございました。
まずは2期の鬼太郎さんの漢前っぷりと、猫娘のたおやかさにドキドキしてしまいました。
そして、鬼太郎の深いセリフにしんみりしてしまったり。
ラストの男に目玉が突っ込んでくる描写は、本当に怖かったです。
とても初めてとは思えません。
素敵な物語を、ありがとうございましたv
読んでいただけて嬉しいです!
2期猫の上品な女らしさと、同じく二期鬼太郎の少年っぽくも漢らしい組み合わせがすきなので。
この二人が仲良くらぶらぶしていると、すごく幸せです。
二期猫ちゃんは戦闘以外の部分で、鬼太郎を支えているといいなぁ。
ラストシーン、怖いといっていただけて安心しました。
グロくなく、けれど怖いという境界線が難しかったので、褒めていただけてすごく嬉しいです。
珠歌さま
お言葉ありがとうございます!
自分自身、スプラッタよりもサイコホラーが怖いと感じる人間なので、
やっぱり、人間の狂気が一番怖いと思うのです。
その辺りを書けたらいいなと思いながら鬼太郎と猫娘にからめてみました。
何とか書き上げて、こうして載せていただいて、お言葉までいただけて。
本当に嬉しいです。
読んでくださって、ありがとうございました!