お前の隣に在る今に（ロックマンエグゼ）

ミクロピュアラブ祭第６弾！

今回は私、矢野がお送りします。
ロックマンEXE、………あ～……ビーストかストリームで。（コラ
「お前の隣に在る今に」なんつーカッコつけた題名ですが中身すっからかんです。
CPはトマホークマン→ロール。

とうとうやらかしたCPです。炎ロルに続くマイナーぶり。もうどうするよ自分。

そんな狂った矢野の作品は、「つづきは～」からどうぞっ！

 

 

お前の隣に在る今に

 

 

 

　可憐、と言ったら面はゆいが、しかしそう表現するしか無い、桃色の痩躯に襲いかかる敵。

　それに向かって、トマホークマンは己の相棒――投斧を投擲する。

　外す心配は全くない。そしてこの一撃で彼女を守れる事にも自信があった。主の信頼を一身に背負った投斧は、その期待に答えるが為に弧を描きながら敵に突進する。そしてその首を刎ね、見事デリートした。

　背後からの敵……そして飛んできたトマホークに、振り返りつつ驚きの表情を見せるロール。

　戻ってきた相棒を手に、トマホークマンは心底呆れた、とばかりに腰に手を当てた。

 

『ったく…ホント、懲りねぇなお前も』

 

 

　きょとん、とそんな彼に首を傾げるロール。何の事か理解していない彼女に、自分でも心底親切だと思いながら先日の戦闘を思い出させる。

 

 

『前も突っ走って攻撃受ける所だったろ。ロックマンはどうした。一緒にいるんじゃなかったのか』

 

『ロックマンは先に行ったわ』

 

　ここを引き受けたのは自分だ。ロールはそう胸を張る。しかしそんな彼女にトマホークマンは苛立ちを隠せない。

 

 

『前衛タイプじゃないだろ、お前。無茶するなよ』

 

 

　彼女の身を案じるトマホークマン。しかし言い方が悪かったか。自尊心が傷つけられたか。ロールは一瞬風船の様に頬を膨らませた。

 

 

『私だってこれでもN1グランプリで良い所まで行ったんだから！　大丈夫ですっ』

 

 

　腰に手を当てて赫怒する彼女。

 

　全く持って可愛くない……容姿はともかくとして。

　頭を掻く――と言うよりは、メットに手を当てるトマホークマンに、ロールは付け足すようにして呟いた。

 

『それに、ロックマンの隣にいれるじゃない』

 

　ぷい、とそっぽを向いた彼女の横顔。己のイメージカラーと同じく桃色に染まるその頬を見て、トマホークマンはとうとう大きなため息をついた。

 

　今はおそらく今回の事件の黒幕を叩いているであろう、あの青いナビを思い出す。

　こんなに愛されて、こんなに想われて、それなのに彼は戦場に一人、彼女を残して先に行くのだ。彼女の戦闘能力を知りながら、そのような行動に出るのだ。

 

　全く、どうしてあんな男がもてるのやら。

 

 

　トマホークマンは心中悪態を付きながら、『はいはい余計なお世話でございました』とロールに頭を振って呟いた。

 

　ロールはまたむっとしてトマホークマンを見る。

　しかし。

 

「ロール！　熱斗の所に行くよ！」

 

 

　オペレーターの声が掛かり、彼女の顔が一瞬で硬くなる。オペレーターに頷きかけ、彼女は走り出した。それに続きながら、トマホークマンもオペレーターに呼びかける。

 

 

『ディンゴ、行くぜ！』

 

「おう！　俺はメイルちゃんと後で追いつく！」

 

　先に行け、と言うオペレーター達に、ロールとトマホークマンは電脳空間を高速で駆け抜けた。

 

　そんな中、隣で懸命に駆ける彼女が、小さく囁くようにして言うのが聞こえる。

 

『……でも、有り難う。さっき助けてくれて』

 

 

　お礼言うの、遅くなってごめんね。

 

　きゅ、と唇を噛んで言う彼女。

　そんな彼女の横顔を見て、トマホークマンは思わず『くそ』と悪態付いた。

 

『気にすんな。行くぞ！』

 

 

　これだからこの女は。

 

 

　何が何でも守りたくなるじゃないか。

 

 

 

 

 

 

　せめて今、こうして現実自分が彼女の隣にあるのなら――

 

 

 

 

―――何処までも自分は彼女を守り抜こう。

 

 

 

 

　青いナビの後ろ姿を思い浮かべながら、トマホークマンは固くそう己の得物に誓うのだった。

--
……なんつーめちゃくちゃ痒い片思い宣言。