不満（五期鬼太郎）

ミクロピュアラブ祭第７弾！

今回も自分、矢野がお送りします。
五期鬼太郎で「不満」
使用CPは……皆様きっともう記憶の彼方に吹き飛んで誰だよそれと言うに違いありませんが例の猫娘のバスガイドの回で我々を悶絶させてくれた二宮くんを登場させ……

二宮→猫で。（爆

例の恐怖の修学旅行解決直後のお話。
「つづきは～」からどうぞ！

 

 

 

不満：：

 

 

 

　後は任せたと彼は言う。ぼろぼろの彼女を置いて、そのまま帰ると彼は言う。

 

　彼女はそれに対して笑顔で答える。任せろと言う。

 

 

　ちょっと待て。

 

 

 

　恵太は思わず怪訝な顔で二人を見た。

 

 

 

――…付き合ってるんだろ？

 

 

　最後まで側にいてやったらどうだ。家に送り届けるまでしたらどうだ。

 

　……彼氏なら。

 

「――待てよ」

 

 

　恵太の声が響く。思わず口から出た険のある口調に、恵太自身が驚いた。

 

　しかし構わず続ける。成り行きに任せることにした。

 

「鬼太郎さんも、一緒に行こうよ」

 

 

　どうせ行方不明者が出てしまった修学旅行だ。おそらく明日の修学旅行は教師達が行方不明だった井森に付きっきりだろう。更に言えば今回狂骨の出現で生徒達のパニックは相当な物だ。そちらの収拾もあり、修学旅行など続けている場合ではない。

 

　本日中に帰省か。あるいは良くて明日の朝帰省か……

　いずれにせよ彼が同伴した所で何も問題はあるまい。そこにいる布のお化け……確か一旦木綿と言ったか、彼に跨ってバスを追いかけても良い。とにかく彼氏ならその位の根性を見せて欲しかった。

 

　それなのに。

 

 

「いや、僕は先に帰らせて貰うよ」

 

 

 

　もう危険は無いだろうしね。

 

　安心させるような笑みを向けてくる。

　そうじゃない。そうじゃないだろ。

 

「―――あっそ」

 

 

　むら、と沸き起こる苛立ち。

 

　恵太は彼に“猫娘”と呼ばれていたガイドの元へと駆け寄った。その手を乱暴に握る。

 

「助けてくれて、ありがとうございました」

 

 

　彼に向かって一応頭を下げる。

 

　彼は良いよ、と静かに微笑んだ。それが更に恵太をむしゃくしゃさせる。

 

　自分はお前の“彼女”の手を握っているんだぞ。

 

 

 

「先生呼んでこよう、ガイドさん」

 

 

　羽原、二人を頼む。

 

　一言告げて歩き出す。

　引き寄せる。自分より少しだけ背の高い彼女。きれいな彼女。体中傷を負っている彼女。それでも笑む彼女。全てが愛おしい。そうだ、初めて見たその瞬間から、猛烈に“愛おしい”という感情が溢れていた。溢れていたのだ。この気持ちに嘘はない。気の迷いでも、勘違いでも、何でもない。本物だ。自分は、彼女が好きなのだ。本気なのだ。

　それなのに。

 

「二宮くん……」

 

 

　後ろから感じる視線。

 

　後ろを振り返る彼女。

　交差する想い。視線。

　何だか今更になって無性に腹が立ってきた。

　だってあんなに一生懸命頑張ったのに。自分が…友も、そしてこの人も守るはずだったのに。そうしたいと、恐怖の中あれほど強く願っていたのに。

 

「――ちっきしょ…」

 

 

　ぼそ、と呟く。

 

　涙腺が緩む。

 

「二宮、くん…」

 

 

　困惑するガイドの声。

 

　二宮は顔を乱暴に拭った。土の付いた袖で、痛い程顔を擦った。罵詈雑言が口から飛び出た。

 

　突然現れたあの少年。自分たちの合間に突如現れたあの少年。彼が、全てを奪ってしまった。

 

　勝利も、名誉も、彼女の想いも……視線も。自分から。

 

　情けない。悔しい。これで終わりか。これで終わりなのか。

 

 

 

 

「っくしょう…」

 

 

　こんな中途半端な……少年に。

 

 

 

 

 

「畜生っ」

 

 

 

　二宮は決して離すまいとするかのように、ガイドの手をきつくきつく握りしめるのだった。

 

 

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何処までも余裕の鬼太郎……と言うよりは余裕を見せる事で必死に自分を守っているような……
って鬼太郎考察してどうするよ。
二宮だろ二宮。彼は本気で猫が好きだったら良いなと思いました。
でもやっぱり片思い。