なんとかしてこの五日間で20話は越えたいそんな自分。
MH祭~夢草紙~ 第14幕。
他様の作品確認の間を借りてお送りします。
オリジナル……ってオリジナルって言うたびに瓶投げるなよっっ!
ちょっと自分でもこれテーマに合ってるかどうかわからないそんな微妙な感じで申し訳ございません……
よろしかったら「つづきは~」をおめくりください!!
バス::
バス。不規則に揺れる車体の中で私はまどろむ。
流れる外の景色は夜の色に塗り潰され、淡い街灯の明かりしか見えない。
静かだった。
疲れ果てた多くの人間が、倦怠感を体中から滲みだし、呼吸すら疎ましげに椅子に沈む。人の存在を感じながら、それでも静まりかえった車内で私は船を漕ぐ。外の景色は幻想的に流れた。
夢か現か、釈然としない意識の中で私は向こうからバスが来るのを見た。
「回送」と額に書かれたバスもまた、揺れながらこちらに近付いて来る。薄暗い車内は人が乗っていない様がよく見えた。回送だから当然だが、運転手しかいないバスは、がらんとしてどこと無く寂しい。ガラス越しに見える車内は少し緑がかって、益々寂漠としている。
そのバスが、こちらとすれ違う寸前、私は誰かが一人、運転手の真後ろに座っているのが見えた。顔が完全に隠れるほど長い黒髪。白い服を着て、うなだれる。
乗り過ごしたのだろうか。
帰り道に運転手が送ってくれることは度々ある。
何となくその人を眺めていれば、バスがとうとうすれ違う。
私はちょうど車道側に座っていたので、すれ違うバスの様子がよくわかる。自分でも疑問に思う程じっと見つめた。
バス。正面。運転手。そして…
あ、と口から声が漏れた。
目が釘付けになって離せない。
運転手の真後ろで、熟睡するかのようにうなだれていたあの人は、すれ違うその瞬間、窓にへばり付いてこちらを見ていた。
窓を突き破り、こちらに来たいとばっかりに。
見開かれた双方の瞳が、私の視線とかち合った。
ゆっくりと吊り上がる唇。
それが開かれ何かを象った。
刹那…
「お客さん」
肩を揺り動かされ、私は目を開いた。見れば、運転手が面倒くさそうな顔で私をのぞき見ている。
「大丈夫ですか」
終点ですよ。
表情とは裏腹に優しい声音で運転手は呼びかける。私は何度かうなずき立ち上がった。
何時の間に終点に来たのか。いつから眠りについていたのか。どこからどこまでが現実なのか。
バスカードを通してバスを降りる。
電気が切れかかった電灯の下で、私は呆然と立つ。
――乗り過ごした。
ここから歩くと30分はかかる。
さあどうしよう。
まだ完全に目覚めていない脳でぼんやり考える。
そんな私の視界に、一台のバスがやってきた。
あれで戻るか。
そう思って表示を見る。
“回送”
バスカードを持つ手に力がこもった。
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テーマぎりぎり。いや、むしろダメか……
ご迷惑だと知りながら、2作も送りつけてしまって…大変お世話になりました(平伏)。
「バス」、拝見させていただきました。
確かにバスって、電車やタクシー、その他の交通機関と違って、ぼんやり揺られているとどこか知らない場所に連れて行かれそうな不思議な気分になりますよね。
今回のお話も、そんな不思議系の話かと思いきや……回送って!!怖ッ……!!
もし目を覚まさなかったら、主人公はどんな世界に迷い込んでしまったのか……等等、根が妄想家なもので、色々考えてしまいました(←無い脳味噌で!汗)
MH祭もいよいよラストスパートですね!
更新大変でしょうが、まだまだ沢山の作品を楽しみにしていますvv
失礼致しました。
バス、お忙しい所読んでくださって有り難うございます……!
夢……うん、夢? かな、的な作品ですが、怖いなんて言っていただけて……///
ラスト3日、何とか全うしたいと思いますので、最後までよろしかったらつきあってやってくださいっ!
コメント有り難うございました!
そう、恐怖ってこういうもんですよね。
特に日本のホラーってのは、欧米みたいにわかりやすく破壊的なモンスターが襲ってくるとかは殆どないので、その正体の見えない恐怖はなんと言うか、民族性の根っこをわしづかみにしている気がします。
というか、私はこの作品にわしづかみにされました。
おかげで今夜は涼しく眠れそうです(怖)
そうなんですよね! ジャパニーズホラーって本当にすごいと思うんです!
得体の知れないモノの恐怖って、がおー!どかーん!ばりばりー!よりずっと……つきまとう怖さがあるって言うか……
もう自分のは未熟すぎてお恥ずかしい限りなのですがっっ……矢月様にそう言って頂けて今ちょっと調子こいて飛び上がってたら椅子から落ちました……神様調子こいて本当にすみません。
本当に嬉しいコメント有り難うございます!! これからも精進しますっ!
あと矢月様是非私に獏様を……(それはもう良い!)